特訓前 | 特訓後 | |
2021年8月17日開始の「ふたりのやくそくドリームチャンスガチャ」に登場。
属性 | キュート | レア度 | SR→SR+ |
Lv上限(特訓前) | 60 | Lv上限(特訓後) | 70 |
Lv.1攻撃値(特訓前) | 8520 | Lv.1攻撃値(特訓後) | 14698 |
最大攻撃値(特訓前) | 21300 | 最大攻撃値(特訓後) | 25560 |
Lv.1守備値(特訓前) | 6560 | Lv.1守備値(特訓後) | 11316 |
最大守備値(特訓前) | 16400 | 最大守備値(特訓後) | 19680 |
コスト | 26 | ||
移籍金(特訓前) | 11,300マニー | 移籍金(特訓後) | 16,950マニー |
特技(特訓前) | たからものみつけた (キュート・クールタイプ フロントメンバー及び バックメンバー上位5人 攻究極アップ) | 特技(特訓後)} | たからものみつけた (キュート・クールタイプ フロントメンバー及び バックメンバー上位5人 攻究極アップ) (キュート・クールタイプ フロントメンバー及び バックメンバー上位5人 攻極小アップ) |
あいさつ | |
プロフィール | ぷろでゅーさー、あそばないのー……?ぴんくのおはな……いっぱいさいてるよー……?おしごとー?そっかぁー……。じゃあ、こずえ……ぷろでゅーさーのこと、ずっとまってるー…… |
マイスタジオ | ふわぁ…おねむじゃないよー… |
このあとー…こずえとあそぼー | |
おしごとー…むずかしーねー… | |
おうえんのうた…うたうー?らららー…あとちょっとだよー… | |
お仕事 | |
お仕事 | きゅうけい…しないのー…? |
ちゃんと…しずかにしてるー… | |
つんつん…えへへー… | |
おはな…たくさんつんできたー…。かわいいの、おすそわけー… | |
親愛度up | ぷろでゅーさー…きりっと、おしごとしてるー…。おとなー… |
LIVEバトル | んー…おわったー…? |
親愛度MAX | |
親愛度MAX演出 | こずえ、たいくつしないよー…。おわったらー…ぷろでゅーさーに、いちばんにいうのー…おしごと…おつかれさまーってー… |
マイスタジオ(親愛度MAX) | こずえのとくとうせきー…ぷろでゅーさーの、すぐちかくー… |
お仕事(親愛度MAX) | ぷろでゅーさー、てつだうー…。おはな、もっとあげるねー… |
あいさつ | |
プロフィール | くらくても…こわくないよー……。ここからー…どこへでも…あるいていけるからー……。そしたらー……やさしいひとに、あえるんだよー…… |
マイスタジオ | ふわぁ…おねむじゃないよー… |
このあとー…こずえとあそぼー | |
たのしいこと…まってるよー… | |
せかいには…きれいなもの、いっぱいー…?さがしにいくー…? | |
お仕事 | |
お仕事 | きゅうけい…しないのー? |
ちゃんと…しずかにしてるー… | |
じゆうに…どこにいこーねー… | |
みんな…たたかうおはなしー…こずえもー…たたかうー…? | |
親愛度up | やさしいひとー…もう、あえたよー…。ねー、ぷろでゅーさー… |
LIVEバトル | だれか、きたみたいー… |
親愛度MAX | |
親愛度MAX演出 | こずえ、たくさんあるいてきたのー…。だから、だっこしてー…。そのままー…ぷろでゅーさーと、きらきらするほうへー… |
マイスタジオ(親愛度MAX) | ひとりじゃないよー…。いまは、ぷろでゅーさーといっしょー… |
お仕事(親愛度MAX) | ぷろでゅーさー、つれてってー…どこでもー…どこまでもー… |
あらすじ
最強伝説 | |
──強さとは、何か。 | |
研究に携わる少女は言った。 | |
『孤独って強いよ。だって、自由と同義だし♪』 | |
まだ幼い少女は言った。 | |
『つよいって、すごいー……?ふぅーん……』 | |
戦う少女は言った。 | |
『強さとは、すなわち情熱!人の心に灯る炎です!!』 | |
では、彼女にとっての強さとは──? | |
バッドガール | ほらほら、出してみなよ。 |
女の子 | ひっ……だ、出すって、何を……。 |
バッドガール | 決まってんでしょ?金だよ、金!ぶつかったんなら治療費払うべきでしょうが! |
??? | …………そこ、邪魔だ。 |
バッドガール | なーに?お嬢ちゃん、アタシらの示談の邪魔をしようってんなら、タダじゃおかな── |
ドゴォッ | |
バッドガール | グハァッ!! |
女の子 | す、すごい……不良を肩ポンだけで吹っ飛ばしてしまうなんて……! |
あの、ありがとうございます。助けていただいて……。 | |
??? | ……無事で、よかった。私のトモダチ……路地裏の、ジメジメロンリーキノコくん……。 |
もう少しで、踏まれてしまうところだった……。 | |
女の子 | あ、私を助けてくれたわけじゃないんですね……。 |
??? | おっと……このままじゃ、遅刻だ。それじゃあな、キノコくん……今日も、元気に胞子を飛ばせ……。 |
バッドガール | ちくしょうッ!何だよアイツ!いきなり人にすげぇ勢いで……! |
女の子 | キノコ……そうだ、間違いない!彼女、ショウコです! |
バッドガール | あ!? |
女の子 | この島の誰よりも強く、誰よりも孤高……コロシアムのチャンピオン、最強少女のショウコですよ! |
コロシアム | |
エマ | よっしゃああああああ!!! |
キイィイィイイン | |
エマ | おっと、悪い悪い。今日も絶好調すぎたわ!改めて……今日の実況はアタシ、エマだ! |
人工島マッシュフロートの最強を決めろ!オマエらお待ちかねの、マッシュファイトの時間だぜ! | |
観客たち | うおおおおおおおおお!!! |
エマ | ルールは簡単!脚でも拳でも何でもいい!完膚なきまでに相手を叩きのめして、膝をつかせろ!! |
今日は春から続いた公式戦の決勝戦だ! | |
歓声やら何やらで、とにかく盛り上げて盛り上げて盛り上げまくれえええ!!!準備はいいか!? | |
観客たち | いええええええええい!!!! |
エマ | うっし!それじゃ、選手紹介だ!! |
決勝戦のチャレンジャーは、この女! | |
全力!熱血!呼び覚まされるは瞳に輝く灼熱の炎!ハイパーフィーバー・アカネ! | |
アカネ | 今日の私も明日の私も、最高温度で燃えましょう!さぁ、ファイトの時間です! |
エマ | 続きましては、現チャンピオン──いや、ちげぇ!この島の常勝チャンピオン! |
孤高!混沌!最強!全てコイツのためにある言葉!吹き荒れろ、胞子の嵐!ショウコ!! | |
…………あれ? | |
まさかまさかの!?決勝戦に不在かよ!? | |
アカネ | ということは、私の不戦勝ですかね!残念です!! |
ショウコ | ……フヒ、さ、さっきからいたぞ……。遅刻はしかけたけどな……。 |
エマ | うぉっ!?気づかなかった……。 |
おっし!気を取り直して、いざ開戦だ! | |
観客A | ショウコおおおおお!!!いつも通りぶちのめせえええええ!!! |
観客B | アカネええええええ!!!お前が新チャンピオンだああああああああ!!! |
アカネ | では、声援に応え、早速ですが……私の≪ミラクルボンバー≫をお見舞いします! |
ショウコちゃんも、ぜひ全力のヒャッハーモードでかかってきてください! | |
ショウコ | ……その必要はない。私は、お前ほど体力がないからな……。 |
一撃で、終わらせる。≪紅蓮毒轟拳≫──! | |
アカネ | ! |
---|---|
ドオオオオオオオオン | |
エマ | オイオイオイオイ!やべぇくらいの土煙だ!……ゲホッ!! |
煙が晴れ、最後まで立っていたのは…………ショウコ!今回もあっという間の決着だあああああああ!!! | |
観客たち | わああああああああああ |
アカネ | ふふ……さすがですね、ショウコちゃん。完敗です!悔しいですが、バトルの後は笑顔で握手を…… |
ショウコ | ……私みたいなのと、握手なんてするな。ボッチの胞子が移るぞ……。 |
アカネ | ……そうですか。残念です! |
エマ | 決勝戦はこれにて終了!島最強は、今期もショウコだったわけだが……オマエら!これで終わらせねぇよな!? |
ひょっとしたら、自分の方がショウコより強いって思ってるヤツ、いるんじゃねぇか!? | |
そんなヤツらに朗報だ!マッシュファイト公式戦、次回開催が決定したぜ! | |
もちろん、チャンピオンのショウコはシード枠!それから、野良ファイトも毎日のように開催中! | |
最強になりたいヤツ、最強と戦いたいヤツ、出てこいや!! | |
観客たち | うおおおおおおおお!!!! |
エマ | ってワケで、次はチャンピオンにインタビューを……って、ショウコのヤツ、またいないし!! |
アカネ | ショウコちゃんなら、もう帰っちゃいましたよ! |
エマ | またかよ!くぅ〜っ!人前は嫌いだからって、一度も優勝インタビュー受けたことねぇんだよな! |
アカネ | はい!私も彼女の言葉が聞きたかったのに……実に、実に残念です!! |
路地裏 | |
ショウコ | ボッチー……ボッチー……ロンリーキノコー……♪今日のファイトの賞金で、また植木鉢が増やせるな……。 |
……って、何だ……?小さな塊……女の子か……? | |
(路地裏に、ひとりぼっちで……まるで、昔の私みたいだ……。ヒッ!?こっち見た……!) | |
??? | おねえさんが……しょうこー……?つよいひとって、きいてるよー……? |
キノコーキノコーボッチノコー | |
ショウコ | お前、私に会いにきたのか……?一体、どんな理由で……? |
??? | しょうこのこと……きいたからー……。 |
ショウコ | そ、そうか……フフ、フヒ……きっと、ボッチだとか……そういう噂を聞いて確かめに…… |
??? | しょうこ……きれいだってー……。 |
ショウコ | へ? |
??? | しょうこのたたかいかた……きれいって……きいたー……。 |
きれいって、なんだろー……。そーおもったからー……むこうのしまから、あいにきたー……。 | |
ショウコ | ……そ、そうか。けど、残念だったな……。大きな大会はさっき終わったぞ。 |
だから、もう帰れ……。この島にいちゃダメだ……。ここには、本島から流れてきたならず者ばかり…… | |
危険なヤツらが、たくさんいる……。 | |
??? | しょうこも、きけんー……? |
ショウコ | あ、ああ……そうだな。お前くらいなら、すぐにどうにかできてしまう。 |
??? | ふぅーん……。しょうこ、ちっちゃいのにー……。 |
ショウコ | なっ……!お、お前よりは大きいぞ……それに、この島では……体格も筋力も、関係ないんだ。 |
ただ、孤独であればあるほど、強い……。 | |
高く跳べたり、速く走れたり、力が増したり……。中には、火を吹いたりするヤツもいるとかいないとか……。 | |
とにかく……独りでいるヤツほど、その身体能力は……異常だ。 | |
??? | ひとり……なんでぇー……? |
ショウコ | 理由は……よくわからない。この人工島を作った研究機関が関わっているかも、とか……噂は色々あるが……。 |
??? | ふぅーん……けんきゅーきかん……。 |
ショウコ | わかったら、帰るか……帰るところがないなら、危険の少ない本島へ行った方がいい……。 |
??? | …………。 |
ショウコ | せ、せめて、船着き場までなら、送っていってやるから……な? |
??? | ……まだ、かえれないのー。やくそく……あるからー……。 |
ショウコ | 約束って……それじゃあお前、どうするんだ……? |
??? | んー……どうしよーねー……。 |
ショウコ | (私の家に……いや、駄目だ。私は、孤独でなきゃいけない……。強くなきゃいけないんだ……) |
(だって、もう、あの時みたいなことは……) | |
??? | しょうこー……どうしたのー……? |
ショウコ | ……ッ!触るな……ッ! |
??? | ……ごめんなさいー……。 |
ショウコ | あ……こっちこそ、悪かった……驚かせたな……。 |
(しゅんとしてる……。私とは全然似てないのに……) | |
(独り、路地裏にいた昔を思い出す……) | |
回想 | |
??? | 貴方、ずっと路地裏にいますね〜。ここは危ないですよ〜?何をしてるんですか〜。 |
ショウコ | …………キノコを、見てる。 |
??? | なるほど〜。キノコがお好きなんですね〜。えっと……お名前は〜? |
ショウコ | …………ショウコ。 |
??? | ショウコちゃん!キノコが好きなら、よかったらうちに来ませんか〜? |
ここに独りでいると危ないですし〜、うちにはキノコもマンドラゴラもいますよ〜 | |
現在 | |
ショウコ | (ワカバさんなら……優しいから、きっと彼女の手をとるんだろう……) |
お前、名前は……? | |
コズエ | こずえは、こずえだよー……。11さい……だっけー……? |
ショウコ | そうか。コズエ……私には触れずに、大人しくしているなら…… |
私を独りのままにしてくれるなら、別に、うちに来てもいいぞ……。 |
縁ってやつかもね♪ | |
ガチャ | |
コズエ | しょうこー……おかえりなさーい……。 |
ショウコ | …………ただいま。 |
(コズエと暮らし始めて、数日が過ぎた……) | |
(私が帰ってくると、律儀に挨拶をしてくるが……それ以外の彼女は、とても静かだった……) | |
ほら……今日のお土産だ……。 | |
コズエ | くっきー……。うさぎさんのかたちー……。えへー、かわいいねー……。 |
ショウコ | (お土産を渡したときに見せる、彼女の穏やかな笑顔……私はいつしか、それを楽しみに早めに帰るようになった) |
(お土産をふたりで黙々と食べた後……コズエは、言いつけを守って……ずっと独りで人形遊びをする……) | |
……飽きないのか、それ。 | |
コズエ | あきるー……?なんでぇー……?こずえ……おにんぎょう、すきだよー……。 |
ショウコ | そうか……。 |
コズエ | しょうこも……あそぶー……?たのしいよー……? |
ショウコ | いや、私は独りで…… |
コズエ | あそばないのー……? |
ショウコ | わ、わかった……遊ぶ。遊ぶから……そんな目で見るな……。 |
コズエ | じゃあねー……しょうこは、きのこのやくー……。 |
ショウコ | 人間じゃないのか……。まあいい……コホン、ヤァ!ボク、シイタケクン! |
(シイタケクン、か……。懐かしいな……。ワカバさんとも、よく人形遊びをした……) | |
(私がキノコにばかり話しかけていると、彼女はマンドラゴラの人形を持ってきて……) | |
(飽きずに、ずっとふたりで遊んでたんだ……) | |
(私はワカバさんから人形遊びを教わった。でも、彼女は……コズエは、誰からそれを教わったんだろう……) | |
な、なぁ……コズエ……。 | |
コズエ | なぁにー……? |
ショウコ | やっぱり、お前は独りでいるべきじゃないと思う……。帰る場所がないと言っていたが…… |
どこかひとつくらい、あるんじゃないか……?その、人形をくれた人……とか、いるだろう……。 | |
コズエ | んー……あやのことー……? |
ショウコ | そうだ。そのアヤさんって人に頼めば、迎えに来てくれるかも……。 |
コズエ | だめー……。あやとは、やくそくしたのー……。 |
ショウコ | 約束化……会った時にも言ってたな。だったら尚更、早く果たせばいい……。一体、どんな約束だ……? |
コズエ | んっとねー……「じゆうにいきろ」ってー……。 |
「けんきゅーじょからぬけだして、あたしいがいのともだちもたくさんつくって…… | |
じぶんのすきなところにいって、すきなようにじゆうにいきろ、って……。 | |
じゆうって、なんだろー……?ともだちって、なぁにー……? | |
ショウコ | それは……私にも、わからない、な……。 |
コズエ | んー……じゃあ、あした……さがしてみるー……。 |
ショウコ | そうだな……。私は、明日も野良ファイトで、日銭を稼いだら、帰ってくるから……それまでは、おとなしく…… |
コズエ | うんー……こずえ、ひとりであそべるよー……。しょうこがかえってきたら、ただいまのごあいさつ……するー……。 |
ショウコ | (……コズエは、わけありだ。関わっても、いいことはないだろう……) |
(なのに、放っておけない自分がいる。……彼女のおかえりの挨拶を、心待ちにしている自分がいるんだ……) | |
コロシアム | |
エマ | さぁ、今日も始まるぞ!野良ファイトの時間だ!! |
会場のあちらこちらで大乱闘!今日はショウコとアカネも参戦中! | |
コロシアムをぶっ壊さない程度に、暴れて暴れて暴れまくれえええええええ! | |
バッドガール | ……やっと来たね、ショウコ! |
ショウコ | …………誰だ、お前。 |
バッドガール | 忘れたとは言わせないわ!キノコを助けるとか言って、人をボロボロにしておいて……! |
ショウコ | ……?本当に、誰だ……? |
バッドガール | て……てめえええええ!! |
エマ | あー、ストップストップ!野良ファイトといえど、始まりのゴングは聞いてくれ! |
ショウコの態度については、アタシから補足しとく!この島に住んでるなら知ってんだろ? | |
孤独であればあるほど、ここでは強くなる!ショウコは孤独!故に最強!小柄ながら剛腕・脚速だ! | |
最強レベルの孤独となると、他者なんてきにも留めねぇ!ショウコに覚えてもらいたかったら── | |
奇抜なファッションか、意味不明な行動か……アツいバトル!これしかねぇな! | |
じゃ、始めるぜ!ゴングを鳴らして── | |
バッドガール | はっ、やってやるわ!もう二度と誰だなんて言わせないから! |
ショウコ | …………かかってこい。 |
エマ | バトル、スタートだ! |
バッドガール | いくわよ、《爆発バッドラッシュ》! |
ショウコ | (小技か……しかも、遅い。かわして、カウンター。それで終わりだ……) |
ドガッ | |
ショウコ | くっ……ッ! |
(掠った……!?私が、避けきれなかったのか……!?) | |
バッドガール | どうやら、ショウコの無敗伝説もここまでのようね! |
ショウコ | ……甘い。避けられないなら、それ以上の力で……押し通す。《疾風狂波》──! |
ファイト終了後 | |
アカネ | いました、ショウコちゃん!今日の野良ファイトも圧勝でしたね!次の大会、決勝で戦えるのが楽しみです! |
ショウコ | …………ああ。 |
アカネ | それから……ほら、救急箱!素早いバトルでも、私には見えてましたよ! |
ほっぺのところ、少し掠ったでしょう?絆創膏を貼りましょう! | |
ショウコ | いや、いい……って、無理やり貼るな……。 |
アカネ | それにしても、ショウコちゃんが一発食らうなんて、不思議ですね!いつも孤高で最強ですし…… |
あ、もしかしてトモダチができましたか!?それとも、とうとう私のこと、トモダチだと思ってくれました!? | |
ショウコ | ……私のトモダチはキノコたちだけだ。 |
(ずっと独りで……だからこそ手に入れた強さだった……) | |
(コズエを拾っても、私たちはあくまで独りと独り……なのに、どうして、私は弱くなったんだ……?) | |
アカネ | ショウコちゃん? |
ショウコ | あ、ああ……なんだ……? |
アカネ | いえ、ぼーっとしてたので、大丈夫かなと思いまして!傷、痛みますか? |
ショウコ | いや、平気だ……ありがとう。じゃあ、私は帰るから……。 |
アカネ | はい!次は私ともバトルしてくださいね!! |
(研究所から抜け出して、自由に生きろ、か……。コズエは間違いなく、この島を作った研究機関の関係者だ……) | |
(私の弱体化は、彼女と関係があるのか……?……彼女は、私に何をしたんだ?) | |
路地裏 | |
コズエ | あー……しょうこだー……。おかえりなさーい……。 |
ショウコ | コズエ……お前、ふらふらと外に出て、危ないぞ……。誰かにさらわれたら、どうするんだ……。 |
??? | あはは、ほんとだよねー。油断してると危ないよー?あたしみたいなのが来ちゃってるわけだし? |
コズエちゃん、みーつけたーん♪ | |
コズエ | んー……みつかったのー……? |
ショウコ | ……………お前、誰だ。 |
シューコ | あたしはシューコ。ま、コズエちゃんの保護者みたいなもんだねー。 |
キミは……チャンピオンのショウコちゃん、だっけ?ショウコとシューコって似てるよねー。 | |
ま、名前が似るのも多生の縁ってやつかもね♪ |
おにんぎょうなのー… | |
シューコ | 事情……事情ねー。難しいなー。ほら、これでも研究には一応、守秘義務とかあるわけだし? |
ショウコ | …………。 |
シューコ | あー、わかったから、そんな怖い目で睨まないでよ、ショウコちゃん♪ |
コズエちゃんはね、研究所で実験に協力してくれてた。でもある日、突然いなくなっちゃってね。 | |
だから、責任者のあたしが直々に迎えに来たってワケ。どう?納得できる話でしょ? | |
ショウコ | ……コズエから、アヤさんの言葉を聞いた。コズエは……研究所に閉じ込められてたんだろ……。 |
迎えに来ただなんて……しらじらしいにも、ほどがあるぞ。 | |
シューコ | んー。人聞きの悪いこと言われてるなぁ。ま、気にしないで。警備員の戯言だよ。 |
研究協力者に変なことを吹き込んだ輩は、当然クビ。正義はいつも、権力を持つ者の側にあるってね♪ | |
コズエ | あや……もう、いないのー……? |
シューコ | そうだよ。でも、代わりの人はいるからだいじょーぶ。 |
ちなみに、彼女には何て言われたのかな?記憶力のいいコズエちゃんなら、覚えてるよね? | |
コズエ | んっとねー、やくそくー……。けんきゅーじょのそとで……すきなばしょで、すきなように……じゆうに、いきるー。 |
シューコ | そう。それで、どうだった?行きたいところに行けて、好きなようにできて、楽しかった? |
コズエ | うんー……。しょうこ、やさしかったー……。おにんぎょうあそびも……たのしかったー……。 |
シューコ | ならよかった♪じゃ、約束は果たしたも同然ってコトで、帰ろっか。 |
コズエ | わかったー……。 |
ショウコ | …………ッ!コズエッ! |
コズエ | なぁにー……? |
ショウコ | コズエ、それでいいのか……?まだ、全然……自由なんかじゃないだろう……? |
家では、独りでずっと遊んでて……外にだって満足に出られない……。 | |
そんな状態で……好きなように生きてるって言えるのか……? | |
コズエ | ……よく……わかんないー。 |
シューコ | 無駄だよ。この子はね、研究所の可愛いお人形。 |
世間知らずで、負の感情も反抗の仕方も知らない。ま、だからこそ研究対象でもあったんだけどさ。 | |
ショウコ | な、何なんだ……お前たちの機関は、何が目的で、コズエを研究に使ってるんだ……? |
シューコ | 目的?そんなの決まってるよ。孤独の緩和。孤独こそ強い……そんな世界を終わらせるためだよ。 |
ショウコ | そんなこと……コロシアムで成り立ってる、この島を……壊すって、言ってるようなもんじゃないか……! |
シューコ | たしかに、そうかもね。ここから先はオフレコだけど……言わないとショウコちゃんは納得しないかなー。 |
本島の研究機関が、人工島であるここ、マッシュフロートを造った。 | |
そこまでは、ご存知の通り。でも、なんで造ったのかは、案外知られなかったんだよねー。 | |
造られたこの島自体が、大きな実験場だったんだよ。 | |
ショウコ | 実験……?そんなの、ただの都市伝説……眉唾物の噂で……。 |
シューコ | 火の無いところに、煙は立たないんじゃない?ほら、これなーんだ♪ |
ショウコ | それは……!私のトモダチ……この島のジメジメロンリーキノコくんだ……ッ!返せッ! |
シューコ | 言わなくても返してあげるよ。珍しくも何ともないからね。 |
むかしむかし、あるところに……って言ってもけっこう最近だけど。 | |
ある博士がね、実験とか言って、人工島に、特殊なキノコをばらまいた。 | |
それを摂取しても、特に害はないよ。ただ、人と触れ合うことで分泌されるオキシトシンが減って、 | |
そうすると……難しいことは忘れちゃった。キノコの成分がどうにかなって、人を強くするんだってさ。 | |
ショウコ | わ、私が言うのも何だが……怪しすぎる……。お前が、研究内容を、把握してないことも含めて……な。 |
シューコ | あたしは、研究してるわけじゃないから、ただ出資者の娘ってだけで、研究チーフのポストも形だけだし? |
それでも、キノコの力がいいように働いて、強くなるのはホント。 | |
自分が孤独だと、感じれば感じるほどに……ね。ショウコちゃんにも、覚えがあるんじゃない? | |
ショウコ | それは…………ッ。 |
シューコ | この島にずっと住んでる人は、キノコの成分を体の奥にまで取り込んで、もう元には戻らない。 |
強さを奪う方法は、たったひとつだけ。それは── | |
ショウコ | ……孤独を、感じさせない。 |
シューコ | そのとーり♪ |
ショウコ | そんな研究に……どうやってコズエが関わるんだ……。 |
シューコ | コズエちゃんはね、不思議な力があるんだよ。これも、やっぱり詳しくは知らないんだけどさ。 |
彼女の声のゆらぎや仕草……その他もろもろを感じると、孤独じゃなくなるんだって。 | |
ショウコちゃんも感じたんでしょ?コズエちゃんなら、どんな自分でも、受け入れてくれるって安心感をさ。 | |
ショウコ | なんで、そんな研究を……。 |
シューコ | さぁね。お偉いさんの考えるコトはわかんないけど……困るらしいよ? |
人工島にいついたならず者たちが、強い力を手に入れちゃうとさ。 | |
ギリギリ答えられるのが、こんなところかなー。納得してくれた?それじゃあ、帰るよー。 | |
コズエ | んー……。 |
パシッ | |
ショウコ | ま、待て……! |
シューコ | えー。これ以上、話せることはないんだけどなー。 |
ショウコ | 話は聞いた……事情も、わかった……でも、私はまだ、納得してない……! |
シューコ | ふーん……。ショウコちゃんって、孤高のチャンピオンじゃなかったっけ? |
いつの間に、コズエちゃんとトモダチになったの? | |
ショウコ | ……トモダチじゃ、ない。私は、何日一緒にいても……コズエのことを、何も知らなかったから……。 |
私には……キノコ以外、トモダチはいない……。作るつもりも、ない……。 | |
シューコ | だったら、連れて帰っても問題ないでしょ? |
ショウコ | そ、それは、嫌だ……。 |
(この世界は、物騒で……残酷で……強くなければ、大切なものは……すぐに、奪われる……) | |
(大切な人の手を、一度でも離してしまえば……もう、巡りあえなくなることを……私は、知ってる……) | |
ト、トモダチじゃなくても……私は、独りのままでも……ここで、コズエの手を離したくない……! | |
シューコ | ……ショウコちゃんって、意外と寂しがり屋なんだね。時間もあるし、まいっか。 |
コズエちゃん、帰るの、もう少し待てる? | |
コズエ | うんー……。 |
シューコ | そ、いい子♪研究所にいた時みたいに大人しく待っててね。 |
さて、意地っ張りで寂しがり屋なショウコちゃん。仕方ないから、相手してあげるよ。 | |
場外乱闘の野良ファイトってコトで、どこからでもかかってきていーよ。 | |
あっ、でも、あたしそんなに強くないから……ほどほどにね♪ |
『力』が欲しい | |
ショウコ | (強い……!最強と言われた私よりも、ずっと……!) |
シューコ | ……まだ気づかない?あたしが強いんじゃなくて、ショウコちゃんが弱くなってるんだと思うなー。 |
コズエちゃんの影響で、ね。 | |
ショウコ | それ、でも……私は、まだ戦える……ッ! |
シューコ | へー、かなりしぶといね。コズエちゃんとはトモダチじゃないんでしょ?なのに、どうして? |
そんなにこの島最強の称号を捨てたくないの?だったら思いっきりやっちゃうけど? | |
コズエ | だめー……。 |
ショウコ | コズエ……。 |
コズエ | しゅーこ、だめー……しょうこのこと……きずつけないでー……。 |
シューコ | しょうがないなー。コズエちゃんが言うなら、この辺にしとこっか。 |
人をボコボコにするのって、楽しくないし。それじゃ、コズエちゃん、ショウコちゃんにバイバイして? | |
コズエ | んー?んー……。 |
ショウコ | (痛い……動けない……。私が、弱いからだ……。このままじゃ、あの時と、同じになる……。) |
(私が……ワカバさんの手を離してしまった……あの時と……!) | |
回想 | |
ワカバ | ショウコちゃん!キノコが好きなら、よかったらうちに来ませんか〜? |
ショウコ | (ワカバさんは、優しかった……。優しいからひそ、周りに人がたくさんいて……) |
(この島で、一番弱い人だった) | |
(私のように、行くあてのない……ボッチな子を、よく招いていたから……家は、いつも賑やかで) | |
(私は、ワカバさん以外の子とは、あまり話さなかったから……他の子たちのことは、よく覚えていない……) | |
(でも……それでも、あの家だけが、私たちの安らげる場所だった……) | |
(なのに、私たちの安らぎは、瞬く間に崩れ去った……私が強くなかったから、消えてしまった) | |
ショウコ | ワカバさん……!逃げなきゃ……! |
ワカバ | 離してくださいっ!アカネちゃんとも、アヤちゃんとも、離れ離れになってしまって……! |
一度、戻りましょう!お姉さんだから、私がみんなを守らなきゃ……! | |
ショウコ | 駄目だッ!家の周りはならず者たちに占拠されてるから── |
ならず者 | あら、呼んだ? |
ショウコ | …………ッ!! |
ならず者 | その強盗さんたちなんだけど、アンタたちの家だけ、お金の在処がわかんなくてさ〜。大事に隠してあるんでしょ? |
お姉さんがあの家の主だよね。お金、どこにあんの?教えてくれないと、アンタたちがどうなるか、わからないよ? | |
ワカバ | くっ……! |
ショウコ | ワ、ワカバさんを離せ……ッ! |
ならず者 | 何?アンタもこうなりたいの? |
ワカバ | ショウコちゃん……!はや……く……! |
ショウコ | あ……ああ……うわあああああああ!! |
ならず者 | あははっ、逃げちゃったよ!?ずいぶんと臆病な子なんだね! |
ショウコ | (あのとき……どうして逃げてしまったんだろう……。ワカバさんは、きっと……早く助けてって、叫んでたのに) |
(逃げたのは、私が弱かったからだ。……もっと力があれば、トモダチを守れた……) | |
(──力が欲しい。そんな願いが届けられたのは……それから少し後だった……) | |
(手に入れたんだ……穏やかな日々を……トモダチを犠牲にして、誰にも負けない強さを) | |
……あのとき、連れ去った人を、どこにやった? | |
ならず者 | し、知らない!私はお金をもらっただけよっ!お金はもう使っちゃったけど家なら返すわ! |
だから、助けてっ! | |
ショウコ | (力を得て、手に入れたのは……ボロボロになった、小さな家だけ) |
い、今さら……力なんか、手に入っても……遅かったんだ……フヒ……フヒヒ……。 | |
ショウコ | (また、守れないのは……嫌だ……手を離すのも、嫌だ……。今度こそ、私は……ッ) |
ガシッ | |
シューコ | ……しぶといね。 |
ショウコ | まだ……コズエの意思を、言葉を……聞いてない……! |
シューコ | トモダチじゃないって言ってたのに、ずいぶんと仲がいいんだ? |
あるよね。無理かもしれないって思うのに、適度な距離を保てばいいって思うのに、友情を育めると信じちゃう。 | |
あたしにもわかるよ。ま、昔の話だけどさ。 | |
それに、コズエちゃんは、研究機関のお人形だからなー。どう?意思とかある? | |
コズエ | ……わかんないー。 |
シューコ | だって。じゃ、そういうことで♪ |
ショウコ | 待て……!コズエ……!それで、トモダチとの約束は果たせるのか!? |
コズエ | …………。 |
ショウコ | アヤさんだって、決心してお前を送り出したはずなんだ……! |
シューコ | その話、長くなりそう?いい加減帰らないと、ふらふらするなって、また研究員に怒られるからねー。 |
あ、そうだ。こうしよう!次の公式ファイトであたしが優勝したら、 | |
これからもまたコズエちゃんに会わせてあげる。そしたら、また話せるでしょ? | |
偉い人としては、この島が脅威じゃなくなればいいんだし。 | |
あたしが一番強くなって、この島最強として君臨すれば、研究にもそんなに力を入れなくなると思うし。 | |
コズエちゃんを縛る機密保持の規定も、緩くなるんじゃない? | |
選んでよ、ショウコちゃん。最強のチャンピオンという座に固執し続けるのか── | |
その強さを捨てて、コズエちゃんをとるのかをね。 |
楽屋 | |
恵磨 | 前半戦、終わりッッ!!!お疲れさまでしたー!!!! |
輝子 | お……おつかれ……さま、でした……。 |
周子 | 輝子ちゃん、大丈夫?これからもまだアクションシーン残ってるけど。 |
輝子 | だ、だいじょうぶ……。これでも……ちゃんと鍛えた、から……。 |
茜 | おお、秘密の特訓ですか!これは後半戦も楽しみですね! |
こずえ | しょうこー……がんばれー……。 |
ガチャッ | |
若葉 | お疲れさまです〜! |
アヤ | 弁当、みんなの分も持ってきたぜ!スタッフみんな、忙しそうだったからさ。 |
若葉 | 私たちの出番は、番外編ですからね〜。それまでは、お姉さんとしてみなさんをサポートしますよ〜。 |
周子 | 頼もしいね〜あたしサイドにいる研究者さんは、応援に来てくれないのかなー。 |
アヤ | そっか!アイツのシーンは、もう映像で撮ってあるもんな! |
こずえ | でもー……かんけいしゃせきでみるってー……いってたー……。 |
周子 | もー、そういうトコ、油断できないよねー。 |
輝子 | そ、そっか……みんな、トモダチや、家族とか……観に来てるよな……。 |
フヒ……かっこいいところ、たくさん見せなきゃな……。 | |
茜 | では!そんな輝子ちゃんに、気合の入った挨拶をお願いしましょう! |
輝子 | ヒッ!?わ、私がか……!? |
こずえ | ざちょー……がんばれー……。 |
輝子 | わ、わかった……。こ、後半も、全力で戦おう……! |
全員 | おー!!!! |
炎を灯します! | |
ショウコ | い、今開けるから……って、アカネさん!? |
アカネ | はい、アカネさんです!! |
ショウコ | ち、違う……そうじゃなくて、体……ボロボロじゃないか……! |
アカネ | そうですね!本日、公式ファイトの一回戦だったんですが……ボロ負けしてしまいました! |
体は平気です!一撃でのされたようなものなので!ただ…… | |
正直、今までで一番悔しいですね。ショウコちゃんとまた戦いたいと思ってましたし。 | |
それ以上に……私も、もっと強くなりたい、強くならなきゃと思っていたので。 | |
ショウコ | アカネさんだって、強いじゃないか……。なのに、一回戦で負けるなんて…… |
アカネ | シューコ。 |
ショウコ | え……? |
アカネ | 私が一回戦であたったのは、シューコさんという方でした!本島の研究機関から来た方で、優勝候補と噂されています。 |
ショウコ | そうか……。 |
アカネ | 島のみなさんが、不安になっているんです。もしや、研究機関にこの島を乗っ取られてしまうのではないか。 |
私たちの、汗と涙とファイトと情熱の日々が、終わってしまうのではないか、と! | |
ですから、私が代表でショウコちゃんを呼んできてほしいと頼まれたんです。 | |
みなさん、希望を託しているんですよ。シューコさんに勝てるのは、最強少女のショウコちゃんだけだと! | |
ショウコ | む、無理だ……私じゃ……アイツには、勝てない……。 |
アカネ | 何故ですか!最強無敵のチャンピオンがそんな弱気じゃ── |
ショウコ | 私はもう孤独じゃないッ!孤独でもなければ、強くもなくなった……。 |
シューコさんと……一度、戦ってるんだ。戦って……負けた……。 | |
今の私は、コズエ……研究機関にいた少女の能力で、孤独じゃなくなったらしい……。 | |
もう、誰かに勝つなんて、無理だ……。アカネさんとも、二度と拳を交えることはない……。 | |
アカネ | ……ショウコちゃん、あなた、何を言ってるんですか? |
ショウコ | アカネさんの怒りも、わかる……。こんな、独りで逃げるようなヤツ……私だって、大嫌いだ……。 |
アカネ | そうじゃありません! |
ショウコちゃんは、孤独じゃない。……いえ、正確には孤独であろうとしていただけ。孤独なんかじゃないんです。 | |
孤独であろうとしたから、身体能力は向上しました。でも、その後のバトルスキルは努力で磨いたもの。 | |
少なくとも、私はそう思っています。 | |
ショウコ | アカネさんに……私の、何がわかるんだ……。 |
アカネ | これでも、ショウコちゃんのことは少しだけ、知っているつもりですよ。 |
拳を何度も合わせる前──ワカバさんの家に遊びに来ていた頃から、ずっと。 | |
ショウコ | どうして、アカネさんがワカバさんのことを……。 |
アカネ | ショウコちゃんは、ずっと机の下にいましたからね。気づかなかったかもしれませんが、 |
当時は、私もよく遊びに行っていたんですよ。 | |
ショウコ | じゃあ……家に、強盗が押し入ってきた日も……。 |
アカネ | ええ、いました。だから知っています。ショウコちゃんがワカバさんを守ろうと、一目散に駆け出したことも。 |
ショウコ | ……そんな、綺麗な話じゃない……。私は、途中で逃げたんだ……!怖くて、頭が真っ白になって……! |
みんなを置いて、自分で守るつもりだったワカバさんまで置いて……自分だけ、逃げ出したんだ……。 | |
ワカバさんにも、アカネさんにも、恨まれたってしかたない……。 | |
アカネ | ……私はもちろん、ワカバさんが恨むなんて、そんなこと、ありえないでしょう! |
ショウコ | どうして、そんなことが断言できるんだ……! |
アカネ | ワカバさんは優しいからです。彼女は優しく、孤独でもなかった。だから、この島では弱者だったんでしょう。 |
けれど、心はとても熱く、強い人でしたよ。いつも私たちのお姉さんであろうとしてました。 | |
ショウコ | でも、アカネさんは見てない……!ワカバさんは、ずっと叫んでたんだ! |
私に、「早く助けて」って……! | |
アカネ | そして、ショウコちゃんは自分は逃げ出してしまったんだと思った。 |
罪悪感と、強くなりたいという気持ちから、独りを選んだ……違いますか? | |
ショウコ | そ、そうだ……。情けない自分が嫌で……強くなりたくて……独りでいた。 |
アカネ | 私は前提が違うと思っています。あのワカバさんが危険な状況で、守るべき妹分に助けを求めるか── |
答えは否です。ワカバさんも、ショウコちゃんと同じように、守りたかったんだと思います。 | |
だから、早くの後は「助けて」ではなく、「逃げて」だった。ならず者たちの気を引き、ショウコちゃんを逃がした。 | |
そう考えては、いけませんか? | |
ショウコ | そんなのは……ただの仮説だ。私に都合がいいだけの、甘い考えだ……。 |
アカネ | そうかもしれません。でも、否定する材料は何もないでしょう? |
ワカバさんと同じように、ショウコちゃんも、優しくて熱い人です。だから、今日はお願いにきました! | |
ショウコ | またその話か……大会に出ろっていう……。 |
アカネ | ええ、それは島の人たちの願いです。私の願いは……ショウコちゃんが、シューコさんと戦うこと。 |
ショウコ | 同じことじゃないか……。 |
アカネ | 少し違います。戦って、彼女の孤独を溶かしてほしいんです。 |
一回戦で戦ったときに感じました。あの人が抱える寂しさは、ショウコちゃんの寂しさと同じです。 | |
独りは寂しいと思いながらも孤独の道を選んでいる……。その理由はわかりません。 | |
しかし、あの強さが示す通り、シューコさんも孤独なんでしょう。 | |
ショウコ | 優しい、アカネさんらしいな……。でも、私はもう強くない……きっと負けてしまう……。 |
島のみんなだって、がっかりする……それでも、戦えっていうのか……? | |
アカネ | はい。コズエちゃん…でしたっけ?彼女、バトルが終わった後、私に訊いてきたんですよ。 |
ショウコちゃんは元気にしているかって。その後、シューコさんと一緒に帰っていきましたが。 | |
私、ピンときました!最近、ショウコちゃんが早く帰っていた理由……彼女と仲良くなったからだったんですね。 | |
ショウコ | ……だけど、彼女は研究に使われていた子で……彼女といるから、私は弱くなってしまって……。 |
アカネ | もう!強さとか孤独とか、トモダチと一緒にいるのに理由なんていらないでしょう! |
それに、研究に使われているなんて、トモダチなら、許せない状況なんじゃないですか!? | |
迎えに行って、それからシューコさんに怒ってきたらいいんですよ! | |
「私の大切なトモダチを、研究の材料なんかにするな!」って!! | |
ショウコ | トモダチ……私と、コズエが、か……? |
アカネ | それ以外に、どんな言葉があるっていうんですか? |
ショウコ | トモダチって、そんな簡単になれるものか……?もっとこう……交換日記とか、順序が……。 |
アカネ | いりませんよ、そんなの!ショウコちゃんが。ワカバさんと一緒にいた時を思い出してみてください。 |
名前を呼んで、一緒に遊んで……仲良くなれたと思ったら、もうトモダチなんですよ。 |
最強だろ! | |
エマ | やってきた──とうとうやってきたぜこの日が!全身全霊をかけた拳と拳、魂と霊のぶつかり合い!! |
オマエら、準備はいいか!?最強が決まる瞬間を、この目で見届けろ! | |
マッシュファイト決勝戦、開幕だあああああああ!!! | |
観客たち | おおおおおおおおお!!! |
エマ | トーナメントを勝ち進み──いや、違ぇ!彼女は戦いをのらりくらりと躱しまくった! |
まさに俊敏!まさに鉄壁!その姿は、花明かりの夜風が如く!彼女に膝をつかせる奴は現れるのか!? | |
期待のルーキー、ミッドナイト舞娘、シューコ!! | |
観客A | 強そうなヤツだな……本当にショウコは勝てんのか!? |
観客B | でもここで勝たないと、この島は研究所に乗っ取られちゃうって噂だよ……。 |
観客A | よしッ!ショウコ、頼む!ブッ倒してくれ!! |
コズエ | ……しゅーこ、ひとりぼっちー……? |
エマ | そして、チャレンジャーを迎え撃つのはもちろん、彼女しかいねぇ! |
無双!無敗!無敵のチャンピオン!彼女が試合に出るだけで、絶叫!爆発! | |
会場のボルテージは常にマッシュアップ!今日も頼むぜ、激熱の試合を! | |
ケイオティックガール、ショウコ! | |
観客A | ショウコって……あんなだったっけ?小さくて、猫背で……。 |
観客B | ……なんか、いつもの覇気がないよね。 |
エマ | いざ、バトルスタートだ!! |
シューコ | ふーん。ほんとに来たんだ。大人しく不戦敗になっても損はなかったのにね。 |
……そんなに、最強の称号が大事だった? | |
ショウコ | 私は……。 |
シューコ | ま、いいや。──すぐに終わらせてあげるから! |
エマ | おおっと!今まで躱し続けてきたシューコが……ここに来て初めて、自ら動いたァ! |
最強相手に、先制攻撃だ! | |
ショウコ | …………ッ! |
エマ | ショウコも避ける!が、速ぇ!高速、音速──いや、爆速で攻撃が繰り出される!! |
シューコ | まだまだ♪ |
ショウコ | く……ッ! |
ドゴォッ | |
エマ | オイオイオイオイ!?嘘……だろ!? |
あのショウコが吹っ飛んだ!?こんなんアタシも初めて見たわ!!! | |
観客たち | …………。 |
エマ | 会場も、あまりの事態に沈黙!ファイト開始以来──この島始まって以来のチャンピオン交代なるか!? |
ショウコ | ぐっ……げほっ……!軽く見えて、ずいぶんと重い拳だな……。 |
シューコ | まぁね。人は見かけによらない。あたしも、こう見えてやる時はやるってね。 |
ショウコ | 前回戦った時より、強くなった……。やっぱり、アカネさんの言った通り、か……。 |
シューコ | アカネ?ああ、一回戦であたったあの子ね。 |
ショウコ | ……お前も、研究とやらで、あのキノコの近くに、常にいたんだろう……だから、胞子が取り込まれてる。 |
シューコ | かもね。でも、それだけじゃ強くならないよ? |
ショウコ | ああ。だから、お前も孤独なんだ。コズエが隣にいても、緩和できないほどのな……。 |
シューコ | そんなつもりないんだけど。あたし、研究員とも仲いいし? |
ショウコ | 誤魔化さなくていい……思えば、ずっと疑問だったんだ。 |
お前の態度には……戦いには、何も見えなかった。研究に関しても、そうだ。 | |
研究に必要なコズエを、簡単に手放そうとした……。 | |
きっと、何かを孤独で覆ってるんだろう。……私が、罪悪感と寂しさを、孤独と強さで覆い隠したように……。 | |
シューコ | それって、何の話?生き方の哲学? |
ショウコ | 目的の……矜持の話だ。 |
シューコ | だから、最初から言ってるでしょ?上のお偉いさんは、この島の強さを、脅威を取り除きたいんだって。 |
ショウコ | 人の言葉じゃない……お前の言葉で聞かせろ! |
戦いには矜持がある。強くなりたい、逃げたくない、誰かを守りたい、約束を果たしたい── | |
お前の矜持は何だ! | |
エマ | おっと、ショウコの反撃!必殺技……じゃなく、ただの右ストレートだ!どうした、ショウコ!? |
シューコ | ぐ……っ!そっか……もう技を放つほどの強さがないんだ。ただの拳なのに……どうしてだろう、効くね。 |
そうだよ。実は、あるんだ。……殴られて思い出したよ。あたしの、本当の目的を。 | |
回想 | |
シキ | ロンリーキノコの成分分析しゅーりょー♪それじゃ、あたしはそろそろ放浪の旅に出ることにするよー! |
外の世界には、面白い子がいるかもしれないしね。 | |
どうして、博士はここから出ていくんだろう。この研究は、もう面白くないんだろうか。 | |
シキ | 孤独が強さに繋がる理由は、もう証明できたからいいかなって。 |
あたしの細腕で研究室の壁を壊したのは、なかなか面白かったにゃー♪ | |
博士は、今この瞬間も、まだ孤独なままなんだろうか。 | |
シキ | 答えはイエス。ギフテッドはいつでも孤独だよ。そして、孤独は強い。だって自由と同義だし♪ |
あたしは今、あなたの隣りにいるのに。あたしじゃ、彼女の孤独は癒せないんだろうか。 | |
あたしじゃ、彼女とトモダチにはなれないんだろうか。 | |
──あなたの強さは、あたしをこんなにもやるせない気持ちにさせる。 | |
現在 | |
シューコ | あたしは……孤独が強さなんて認めない。認めたくない。 |
こんな大会……ううん、孤独が強くてかっこいいって思ってるヤツなんか……こんな島なんか…… | |
全部、全部、ぶっ壊してやる! | |
ショウコ | はは……やっとだ……。やっと、お前の気持ちが見えた気がするよ……。 |
来い、シューコ!全力で!私と!ぶつかり合おうッ!! | |
観客A | ……ショウコ、また雰囲気が変わった? |
観客B | いつものオーラはないけど……かっこいい…………! |
アカネ | ヒャッハーモードですね!ショウコちゃんの、本気です! |
エマ | なんつぅことだ!これがバトル!拳と拳のぶつかり合い! |
先手必勝だったショウコも、のらりくらりと躱してきたシューコも、正面からの殴り合いだああああああ!!! | |
ガッ | |
エマ | ショウコ会心の一撃!だが、シューコにまったく効いてる様子はないぞ! |
この壁を、鉄壁を、ショウコはぶち壊すことができるのか!? | |
シューコ | 急に作戦を切り替えてきたね。ショウコちゃん、キノコ大好きなインドア派でしょ?すぐに体力尽きちゃうよ? |
ショウコ | 構わない……お前が正面からぶつかってきたんだ。私も正面から、お前の孤独を壊すことにした! |
シューコ | おかしなこと言うね。あたしの孤独は、コズエちゃんでも癒せないんでしょ? |
ショウコ | そうだな……私、おかしい……ヘンだから、普通の人みたいに、器用にはできないんだよッ! |
だから、バトルで──この拳で、孤独を壊すッ! | |
シューコ | 無理だよ。無理なのに……ふふっ、本当にヘンだね。面白いよ、ショウコちゃん♪ |
ショウコ | そうだな。そんな私と、トモダチになったら、案外面白いかもしれないぞ!……あ、調子乗りすぎ? |
ガキィンッ | |
エマ | おっと!執念!執念だああああああ! |
積み重なったショウコの打撃が、ついにシューコの鉄壁を、ぶち破ったあああ!! |
サヨナラだ…私の孤独 | |
ショウコ | …………。 |
シューコ | …………。 |
エマ | かげぇ……すげぇバトル──いや、意地の張り合い──いやいや、魂のぶつかり合い!両者一歩も引かねぇ! |
シューコ | ずいぶんと粘るね。体力も、もう限界でしょ? |
そんなに最強がいいの?そんなに、孤独で強くありたいの?孤高って、そんなに楽しいの? | |
トモダチを、トモダチじゃないと切り捨ててまで? | |
ショウコ | 孤独だから強いとか……トモダチがいると弱くなるとか……そんなのは、もうどうでもいいッ! |
私はただ、強くありたいッ!大切なものを、二度と失ったりしないように! | |
大切な人を、今度こそ守れるようにッ!! | |
(体力的に、あと一撃……この技に、すべてをかけるしかない……) | |
エマ | 決着前の静けさ!緊迫の一瞬に、これは会場中も息を呑んで── |
コズエ | しょうこ、がんばれー……。 |
エマ | っと、これはファンの少女の声援か!? |
ショウコ | はは……気が抜ける声だな、コズエ……。 |
っていうか、なんで私の方を応援するんだ……。お前の保護者は、シューコだろ……。 | |
コズエ | しょうこは、ともだち、だからー……。しゅーこも、ほごしゃ?だからー……。 |
どっちも、おうえん……するよー……。 | |
ショウコ | ますます気が抜けた……。……私は、トモダチじゃないって、言っちゃったのにな……。 |
コズエの中では、もう立派なトモダチだったのか……。 | |
アカネ | 私もトモダチだと思ってますよ!ショウコちゃん! |
コズエ | びんじょー……? |
アカネ | 違います!いつも隙あらば言おうと思ってました! |
ショウコ | フヒ……アイツら……。なあ、シューコ、孤独じゃなくなっても……私は、やっぱり強くありたいよ。 |
この島で、トモダチと一緒にいるために、さ……。 | |
エマ | ショウコのあの構えは!?まさか……来るのか!?あの必殺技が!! |
シューコ | じゃあ、あたしも使ってみようかな。付け焼刃だけどさ、必殺技ってやつ。 |
ショウコ | ショウコ流奥義──《輝く星の如く》! |
シューコ | シューコ流奥義──《ミスティックエッジ》! |
エマ | 両者、最後の一撃がぶつかり合う!!! |
コズエ | これがー……あやのいってたー……。 |
アカネ | コズエちゃん?どうしました? |
コズエ | ……しょうこのめ、とってもきれいー……。きらきらしてるのー……。 |
アカネ | ええ、私にも、炎がメラメラ燃えているように見えますよ! |
コズエ | ……あやのいってたこと、ほんとうだったー……。こずえ、きれいのいみ……わかったよー……。 |
回想 | |
アヤ | アタシ、アヤノン!ナカヨクシテネ、コズエチャン!……なぁ、この人形遊び、いつまでやるんだ? |
いい加減飽きてこないか?ずっと同じ部屋にいて……コズエはさ、外の世界を見たくないのか? | |
コズエ | そとー……。どんなところー……? |
アヤ | いろんなヤツがいるところだ。熱血なヤツとか、ずっとキノコで遊んでるヤツとかな。 |
……つっても、アタシもこの研究所と、隣の人工島の一部しか知らないんだけどさ。 | |
コズエ | ふぅーん……あやは、となりのしまのひとー……? |
アヤ | ああ。コズエにあの島はオススメしねぇけどな。アウトローの集まりだし。 |
でも、だからこそ燃える戦いもあってさ!この前、休暇の時に一回里帰りしたんだよ。 | |
そしたらでけぇコロシアムができててさ!ショウコの試合がまた熱くて!綺麗な戦い方だったなー! | |
コズエ | きれいって、なんだろー……。よく……わかんないー……。でも、こずえも……たたかえるよー……? |
みぎすとれーとー……えいー……。 | |
ぽすっ | |
アヤ | ははっ、いい筋してるな! |
回想2 | |
アヤ | ちくしょう!もう追手がそこまで来てる……!このままじゃ、ふたりとも捕まっちまう……! |
ここはアタシが押さえる!コズエは先に船に乗ってろ!アタシは絶対、後から行くから! | |
コズエ | いくって……どこにー……? |
アヤ | 安全なところならどこだっていい!自己満だけど、お前には、もっと広い世界を見てほしいんだ! |
お前は、研究所の人形なんかじゃない!人間なんだよ! | |
外の世界には、コズエの好きな可愛いものもたくさんある!好きな場所で、アタシ以外のトモダチもたくさん作って── | |
好きな場所で、好きなように、自由に生きてくれ! | |
コズエ | でも、こずえには……やくわりがあるってー……。なんだっけぇー……こどくの、かんわー……? |
アヤ | そう、だったな……じゃあ、孤独で寂しくてしょうがねぇってヤツがいたら、そいつの隣にいてやればいい。 |
約束だぞ、コズエ! | |
コズエ | あやのいってたこと……わかったよー……。しょうこは、きれいー……。 |
だれかをおもって、たたかうひとは……とっても、きれいー……。 | |
現在 | |
2人 | うおおおおおおおおおおお |
ショウコ | (技を放った傍から、力が抜けていく……。かすかに残っていた強さも、失われていく……。) |
(サヨナラだ……。私の力……私の孤独……) | |
(この強さを手放したとしても……強くあろう。もう、トモダチの手を、二度と離さないように──!) | |
ドゴォッ | |
観客たち | …………。 |
エマ | 観客が見守る中、最後まで立っていたのは──!? |
ショウコ | お前の本気……なかなかだったぞ、シューコ。 |
シューコ | そっちこそ……。さすがだね、ショウコ……勝てなかった、か……。 |
ズシャッ | |
エマ | け、決着!決着だあああああああ!!!! |
激闘の末、制したのはショウコ!最強の名は、変わらず彼女のものだあああああ!! | |
観客たち | おおおおおおおお!! |
回想 | |
シキ | あたしはそろそろ放浪の旅に出ることにするよー!外の世界には、面白い子がいるかもしれないしね。 |
シューコ | 本当だ……外の世界には、本当にいたよ。面白いヤツ。 |
あたしも、ショウコちゃんくらい、体を張ればよかったのかな。友情ってヤツに。 | |
でも、熱血はキャラじゃないんだよなー。 | |
自分を孤独だと言い切ったあなたに、今、訊いてみたいよ。 | |
ねぇ、シキ──あたしは今、孤独なのかな……? |
ボッチのキノコは、いないよ | |
アカネ | ショウコちゃん、おはようございます!! |
ショウコ | お、おはよう……?ふぁ、ファイトは……どうして私は家に……まさか……夢、か……? |
アカネ | そんなわけないでしょう!試合はもう終わりましたよ!ショウコちゃんの大勝利で! |
ショウコ | そ、そうなのか?シューコは……? |
アカネ | 先に膝をついたシューコさんより、ショウコちゃんの方が疲労困憊でしたからね! |
ショウコちゃんが寝ている間に、帰っちゃいましたよ! | |
ショウコ | そ、そうか……言いたいことも訊きたいことも……話したいこともたくさんあったんだけどな……。 |
アカネ | シューコさんなら、大丈夫だと思いますよ。私、ショウコちゃんへの伝言を預かっているんです! |
アカネ | ショウコちゃん、寝ちゃいましたね! |
コズエ | けが一……だいじょうぶー ……? |
アカネ | ナースさんが言うには、ひと晩ぐっすり寝たら大丈夫だそうですよ! |
シューコ | おっ、ここにいたんだねー。ショウコちゃんは……寝てるか。色々と話したかったんだけどな。 |
アカネ | 言伝であれば私がお伝えしますよ!遠慮なくどうぞ!! |
シューコ | んー、じゃあ、これだけ。コズエちゃんは、ショウコちゃんの家で預かっといて。 |
上のお偉いさんには、あたしから何とか言って聞かせるからって。 | |
コズエちゃんも、これからショウコちゃんとたくさん遊びなよー? | |
コズエ | しゅーこ、だいじょーぶ……? |
シューコ | あー、これから大変になるだろうけど、今のところはね。 |
とりあえず、研究の出資は体内でのキノコの胞子の反応を抑える方にシフトするつもり。 | |
シューコ | だから、コズエちゃんは自由だよ。 |
コズエ | ううんー………そうじゃなくてー……ひとりで、だいじょーぶ……? |
シューコ | ……全部が全部、割り切れたわけじゃないけどね。吹っ切れはしたよ。 |
独りを嘆くよりは、いつかふらっと、彼女が……シキが帰ってくるのを、待つことにした。 | |
アカネ | ショウコちゃんの挙も気持ちも、シューコさんは受け止めました。 |
だから、彼女の選んだ先にあるのが、孤独でも絆でも、きっと大丈夫ですよ! | |
彼女は前ほど、寂しそうな瞳はしていませんでしたから! | |
ショウコ | そうか……。 |
な、なあ……ところで、何か、香ばしい匂いがしてないか……? | |
アカネ | ああ、キッチンで優勝祝いのご馳走を作ろうとしていまして! |
ちょうど家の前にいたエマさんにも、手伝ってもらっていたところだったんです! | |
エマ | おーい! アカネ!肉放置してていいのか!?あとこの鉢植えのキノコは焼いていいのか!? |
アカネ | えっ!?あのキノコはショウコちゃんのトモダチですよね!?ちょっと待って── |
ショウコ | いや、ロンリーキノコくんは、美味しい……ぜひ食べてやってくれ……。 |
アカネ | いいんですか!? |
ショウコ | ああ、この後発表される研究内容によっては……キノコくんが、「孤独を助長させた」とか |
言われるかもしれない。それよりは、 美味しいキノコとして、みんなに伝わってほしい……。 | |
エマ | オッケー!味付けは塩か!? |
ショウコ | ま、まってくれ!そのキノコは、バターでソテーし、醤油で味付け……それでこそ活きる……! |
ガチャ | |
どんっ | |
コズエ | ふわぁー……。 |
ショウコ | コ、コズエ……すまない、ぶつかってしまった……痛くないか……? |
コズエ | へいきー……。 |
ショウコ | お前、また外に出てたな……。危ないから出るなとあれほど言って…… |
あ、いや、出ていい……ただ、出る時は、私と一緒だ……。一緒に、いろんなところへ行こう……。 | |
コズエ | うんー、えへヘー……。 |
アカネ | コズエちゃん、何やら嬉しそうですね!楽しいことがあったんですか!? |
コズエ | あのねー……おてがみ、きたの一……。しょうこ、これー……。 |
ショウコ | 「Dear ショウコ&コズエ」か……?差出人は……。 |
コズエ | わかばと、あやだよー……。 |
ショウコ | …………! |
そうか……生きてたんだな……生きてて、くれたんだ……! | |
コズエ | しょうこ、ないてるー……?なみだは、かなしいとでるのー……。しょうこ、かなしいー……? |
ショウコ | そっか、コズエは、知らないのか……。涙はな……嬉しくても、出るんだぞ。 |
コズエ | ふぅーん……? |
ショウコ | 手紙、あとで読もう。一緒に、な……。 |
コズエ | うんー、たのしみー……。 |
エマ | バターがどこにあるかわかんなかったから、とりあえず肉持ってきたぜ! |
おっ、ショウコ、もう起きても大丈夫か?じゃ、早速させてもらうか! | |
ショウコ | させてもらうって、何を……。 |
エマ | 決まってんだろ?インタビューだよ!優勝インタビューッ!! |
いっつも答えてもらえなかったからな! 今度こそはって家まで来てみたんだよ! | |
そしたらアカネに呼ばれて、肉とキノコを焼いてる!!やっぱ人生って面白いわ! | |
で、受けてくれるのか?優勝インタビュー!! | |
ショウコ | ああ。 |
エマ | やっぱ難しいかー……って、いいの!? |
ショウコ | もともと、人と仲良くなるのを避けて……孤独じゃなくなるのが怖くて、受けてなかっただけだ……。 |
ショウコ | だから……今は、別に、受けてもいい……。 |
エマ | サンキュー! じゃ、早速だ!アタシ、これをずっと訊いてみたいと思ってたんだよ! |
昔、この島に来た研究者は言ったらしい。 | |
『孤独って強いよ。だって、自由と同義だし』 | |
エマ | で、コズエに訊いたらこうだ。 |
コズエ | つよいって、すごい……?ふぅーん……。 |
エマ | んでもって、アカネはっていうと── |
アカネ | 強さとは、すなわち情熱!人の心に灯る炎です!! |
エマ | じゃあショウコ、お前にとって、強さとはなんだ!? |
ショウコ | ……私はもう、強くなんかないが……でも、強くあろうとする限り、きっと、強くなれるんだろう……。 |
私はこれからも、強くあり続ける……トモダチと、ずっと一緒にっているために、な……! |
楽屋 | |
全員 | お疲れさまでしたー! |
茜 | いやー、熱いバトルでしたね!もう一戦したいところです!!どなたかいかがです!? |
恵磨 | アタシももっともっと声出したいッ!!司会なら任せてくれよ!! |
周子 | いや、ここ楽屋だから、そういうのは事務所でやった方がいいよ。 |
アヤ | 事務所ならいいのか……?まあ、体力はとっておいた方がいいよな。この後は打ち上げもあるし。 |
若葉 | 公演の内容にちなんで、キノコ料理がおいしいところみたいですよ〜♪ |
ところで〜……主役の輝子ちゃんは……? | |
周子 | そこにいるよー。 |
輝子 | ……………。 |
茜 | さすが主役、お疲れですか!ドリンクをどうぞ! |
輝子 | ありがとう……。疲れはそれほど……。ただ、舞台の余韻で、まだ体が熱いんだ……。 |
恵磨 | 輝子、すっげぇ熱演だったもんな!! |
アヤ | そういえば、こずえもいないよな? |
ガチャ | |
こずえ | しょうこー……これー。すたっふが、あげるってー……。 |
周子 | お、物販アイテムだ。ジメジメロンリーキノコくんオブジェ。 |
輝子 | ああ……在庫に余裕があれば、買い取ろうと思って…… |
取り置きをお願いしてたんだ……。 | |
周子 | あ、物販で思い出した。あたしも、取り置きお願いしてたものがあったんだよねー。 |
こずえ | こずえも、いくー……。 |
茜 | おや!こずえちゃんも何か取り置きを? |
こずえ | うんー……。みにいくー……。 |
アヤ | もしかして、花をもう一回見たいんじゃないか?キレイだったしさ! |
若葉 | ああ、スタンドフラワーですね〜。ファンの方々がたくさん贈ってくれていましたし〜。 |
恵磨 | マジで!?まだ見てない!!アタシもいくわ!! |
じゃ、輝子、プロデューサー!あとで打ち上げ会場に集合な! | |
バタバタ | |
輝子 | あ、慌ただしいな、みんな……。あるいは……空気を読んでくれたの、かも……? |
じゃあ、改めて……コホン。う、受け取ってくれ、プロデューサー……! | |
今回の役は……きっと、ボッチのままだったら演じられなかった……。 | |
プロデューサーと出会って……親友になれたからこそ……私はショウコを演じられたんだと思う……。 | |
だから……改めて、お礼の気持ちだ……。 | |
ありがとう……親友。プロデューサーは、私に強さをくれた人だ……。 |
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