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凪 | ふんっ……!ぬぅんっ……!ふぉぉぉっ……! | 



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……ふぅ。これで準備は万全ですね。ソロ曲デビュー、勝ったな。 |
みなさん。まずは何も言わず、これを受け取ってください。久川家に代々伝わる手作りクッキーです。不安になる形をしていると全はーちゃんにも大好評。ぜひご賞味あれ。 |
乃々 | あ、どうも……。……この形はもしや……リス……? |
小梅 | ありがとう♪わぁ、ゾンビさんかな。 |
裕子 | 私のは、スプーンですね!おお、曲がっているのも!サイキックですね! |
こずえ | こずえのはー、おはなー?あー、はなびら、とれちゃったー……ごめんねー。 |
凪 | 花は散るものです。さて、思い通いに楽しんでいただいたところで、ご賞味あれ。 |
小梅 | いただきます……あ、おいしい。 |
乃々 | あ、ほんとだ……。……あの、とりあえずいただいてしまいましたけど、これはいったい……? |
凪 | アイドルと仲良くなるには、クッキーやマフィンが定番と聞きました。そう、Pはよく知っていますね。 |
みなさんには、今度のステージをお手伝いいただくと聞いたので。よろをしくのやつです。いわゆるお気持ちですね。 |
裕子 | なるほど!これはどうもご丁寧に!こちらこそ、よろしくお願いします! |
こずえ | よろしくー……。 |
凪 | はい。そして、それともうひとつ。みなさんに、手伝ってほしいことがあります。 |
裕子 | ほう、それはいったい? |
凪 | 凪の曲は、素敵な14平米の部屋を歌ったものです。なので、そのイメージを掴むために……。 |
理想の14平米を、みんなで探しにいきましょう。 |
小梅 | 理想の……。 |
こずえ | じゅうよんヘーベー……? |
数日後 |
乃々 | えー、えー。というわけで。 |
まずは一番手、もりくぼが見つけた、おススメの14平米に、みなさんをお連れしたいと思います。プロデューサーさん、諸々の手配、ありがとうございました……。 |
こずえ | おつれされるよー。 |
小梅 | どんなお家なのか、楽しみ♪ |
乃々 | 静かな住宅街にあるお部屋です。少し交通の便はよくないですが、静かです。 |
近くには公園もありますし、きっと、過ごしやすい場所だと思います。凪さんの曲に合うかはわからないですけど……。 |
凪 | めまぐるしい都会の日々を振り返り、癒してくれる部屋ですね。 |
近くの公園 |
こずえ | おひさま……ほかほかー……。はとも、ほっほー。きもちいーねー……ふわぁ……。 |
裕子 | ふわぁ……おっと。子どもたちも微笑ましく遊んでいて、なんというか、のどかですねぇ。 |
小梅 | 乃々ちゃんらしいチョイスだね。落ち着いてて、あったかい感じ。 |
乃々 | そうですね。やっぱりもりくぼは、騒がしい場所は苦手なので……。 |
こずえ | はとー……はと一……?なんだか、いっぱい、だよー……? |
乃々 | あれ……?たしかに、なんだか鳩が集まってきているような……って! |
凪 | どうどう、みんな、そんなに凪が好きですか。くるしゅうないくるしゅうない。 |
鳩たち | ポッポー。 ポッポー。 ポッポー。 |
乃々 | ええええっ!?凪さんが鳩に埋もれてるんですけどっ!? |
裕子 | 鳩たちが凪ちゃんにどんどん集まってきますっ!これはもはや、本物のサイキックなのでは!? |
こずえ | はとー、ぽっぽー♪ |
鳩たち | ポッポー。 ポッポー。 ポッポー。 |
裕子 | こずえちゃんの呼びかけで、さらに鳩が増えていきますよっ!? |
子どもたち | すげーっ!ねぇねぇ、どうやってるの、これ?めちゃくちゃはといる一っ! |
乃々 | あわわ……こ、子どもたちまで集まってきちゃったんですけどっ!!ぷ、プロデューサーさ〜〜〜〜んっ!! |
子どもたち | 楽しかったー!ありがとー!それ、お礼にあげる!ばいばーいっ!! |
凪 | ほうほう、これはなかなか綺麗な石ですね。ツルっとした手触りがチャーミング。ありがたくいただいておきましょう。 |
P、それからみなさんも。久川凪の鳩パラダイスにご協力いただき、ありがとうございました。 |
乃々 | ひぃ……ひぃ……大変だったんですけど……。 |
P | みんな、本当にお疲れさま…… |
小梅 | でも、楽しかった、ね♪ |
こずえ | ねー♪ |
裕子 | あの鳩を呼び寄せる技はいったい……?本当になにかのサイキックですか? |
凪 | いえ、あれは最近身につけた、ヒカリスマのスキルですね。スキル効果は、鳩と仲良くなります。 |
裕子 | 最近身につけた鳩カリスマ!? |
凪 | ええ。凪は成長期なので。お仕事のたびに、特技も増える一方です。 |
他に最近身につけたものとしては、そうですね……うどん職人見習い、などもありますね。 |
乃々 | それは身に覚えがありますけど……アイドルのスキルとはいったい……。 |
凪 | いまはスキルの掛け算で儲ける時代ですよ、と知ったようなしたり顔をしてみます。なにごとも知ったような顔、これぞJC。 |
……ということで乃々さんからご紹介いただいたのは、鳩がたっぷり、ハートフルなお家でした。 |
乃々 | コンセプトが違うんですけど!? |
数日後 |
小梅 | じゃあ今日は、私が見つけた14平米に連れていくね。プロデューサーさん、みんな、楽しみにしてていいよ。ふふ……♪ |
この部屋のアピールポイントはね……ひとりで住んでも、寂しくないところなんだ♪ |
裕子 | ……あ、あの。それって、もしや……。 |
小梅 | もうひとりいるんだ♪ほら、いまもそこに……。 |
乃々 | ひえええええええっ!? |
こずえ | はじめましてー。こずえだよー……。 |
凪 | ユニークなお部屋ですね。 |
ふむふむ……この物件は、都心へのアクセスがよくてオシャレに暮らすのが楽しいみたい、と……。 |
小梅 | うん。この部屋にこれまで来た人は、みんなそういうのを楽しんでたんだって。 |
裕子 | そ、そんな普通に、物件情報なんか聞いて……な、凪ちゃんは、こ、こここ、怖くないんですかっ!? |
凪 | 人を見かけで判断してはいけません、とゆーこちゃんに教育されたので。 |
乃々 | 見かけっていうか、見えないんですけど!? |
こずえ | だいじょうぶだよー。いいこ、いいこだからねー。 |
裕子 | こずえちゃんまで!? |
こずえ | おしゃべりできてー……たのしーねー……。 |
小梅 | この子はね、いい子なんだけど……。とっても寂しがり屋さんで、お部屋に来た人に気づいてほしくて、そのせいで、ずっと怖がられちゃってたんだって。 |
小梅 | だから、今日はみんなとお話できて、嬉しいって。ニコニコしてる。 |
凪 | そうですか、それはよかった。ですが……ふむ、そうですね。 |
ひとつ、パシャリといきましょう。せっかくの異文化コミュニケーション。今日の記念に、みんなの笑顔を。 |
裕子 | そ、それってつまり、アレですよね。心で始まって真で終わる……。 |
こずえ | しんれいしゃしんー……? |
裕子 | ひょええっ、言わないでくださいっ! |
凪 | では、P。カメラは任せます。目に見えないものを写す気概で、ひとつ。 |
P | じゃあ、撮るよ |
凪 | ふむ、やりますね。バッチリです。 |
乃々 | ばっちり!? |
小梅 | ほんとだ。とっても可愛く写ってる、ね。 |
凪 | それでは、このお家のこともよくわかりましたし、 |
そろそろお暇しましょうか。 |
小梅 | あ、待って。この子がね、みんなのお名前を教えてほしいんだって。 |
凪 | そういえば、自己紹介がまだでしたね。凪は、久川凪。……アイドルです。 |
数日後 |
こずえ | きょうはねー、こずえのおすすめ、みんなにおしえてあげるー……。 |
裕子 | こずえちゃん、自分で調べたんですか?えらいですねっ! |
こずえ | ぷろでゅーさーといっしょに、しらべたよー。いろんなおしゃしん、みせてもらったー。おたのしみにー。 |
こずえ | このおへやは……ぽかぽかー……あったかいねー。 |
裕子 | 日当たり抜群、気持ちのいい部屋ですね! |
凪 | 将来への希望に満ちたお部屋ですね。 |
こずえ | すぅ……すぅ……。あったかー ……ふわぁ……。 |
乃々 | ふふ、気持ちよさそうですね……。 |
裕子 | お部屋についてすぐお昼寝を始めてしまったときは、少しびっくりしましたが。 |
P | お部屋探し、がんばっていたよ |
P | 最終的に、あの部屋にすると決めたのもこずえだしね。こずえなりに、きちんと選んでいた。 |
凪 | 部屋探しは、自立の始まりです。いつまでも子どもだと思っていても、いつの間にか成長しているものですね。 |
こずえ | ん……?ぷろでゅーさー、みんな、おはよー……。 |
小梅 | おはよう、こずえちゃん♪ |
こずえ | おはなのかんむり……きれいだねー……。 |
乃々 | ここをこうして……できました。もりくぼも、花冠……。 |
小梅 | 乃々ちゃん、上手……♪私もできた……けど、自分で被るのは、ちょっと、恥ずかしい、ね……。 |
こずえ | ののも、こうめも、かわいいよー……?ぷろでゅーさーも、そうおもうー……? |
P | そうだね |
こずえ | ねー。だから……おそろい、しよー……? |
乃々 | じゃ、じゃあ、せっかくですし……。……えへへ。 |
小梅 | うん……ふふっ。 |
裕子 | ぬぬぬ……みなさん、なぜそんなにきれいな形に……。 |
凪 | ただ編み込むだけなのに、なぜここまで差が出るのか。花冠、深いな……。 |
こずえ | ゆうことなぎも、がんばれー……。 |
凪 | 冠ではなく、指輪……。……これが、凪の限界のようです。みなさん、凪を置いて、先へ……! |
こずえ | はなのゆびわー……。それもかわいいよー……。 |
凪 | スキルを磨いて、今度は冠を作りたいですね。 |
こずえ | またいっしょに、つくろうねー……。 |
凪 | ええ。またいつか、必ず。 |
数日後 |
裕子 | お待たせしました!お次はこの私、エスパーユッコの番ですね! |
ふっふっふ……どーんと任せてください!この私がダウジングで探し当てた、最高にサイキックな物件をご紹介しますから!! |
凪 | ダウジングという名の紆余曲折を経て、やってきたのが、この部屋というわけですね。 |
乃々 | 駅が近い割に静かですし、日当たりもいいですね。建物も綺麗で、スーパーもコンビニも近くにありましたし。 |
こずえ | ふわぁ……このおへやも、きもちいいねー。 |
小梅 | すごい……いいお部屋、だね。でも……。 |
P | サイキックな部屋ではないね…… |
裕子 | ななな、なんとーーっ!? |
NGですっ!エスパーユッコ、もう一度ダウジングしますので、少々お待ちを!むむむ……。 |
凪 | ユッコさん。ユッコさん。 |
裕子 | むむむ……あ、はい。なんでしょう凪ちゃん。 |
凪 | そのダウジング、凪にも伝授していただけませんか。 |
裕子 | おや!凪ちゃんもサイキックに興味が?いいですよ!予備のダウジング棒をプレゼント!さぁさぁ、一緒にレッツダウジング! |
凪 | いきますよ……むむむむむ、むぅ〜んっ! |
…………ぐいっ。 |
……おや。P、見てください。ダウジングがあのクレープ屋さんを指しています。 |
乃々 | いま、明らかに自分でぐいっと……。 |
小梅 | あ、でも、あのクレープ、美味しそう。 |
裕子 | たしかに……。これは……あれこそダウジングの指し示すものかもしれません! |
こずえ | ぷろでゅーさー、かってー。 |
いちご、あまあまー……。くれーぷ、ふわふわー……。 |
小梅 | 見て見て。噛みついたら、真っ赤な中身があふれ出てくる、よ。 |
乃々 | 美味しいいちごクレープが、ホラー食レポで大変なことに……。 |
凪 | そういえば……東京に来たばかりのときも、PPayでクレープを食べましたね。あのときは、はーちゃんと。 |
裕子 | 凪ちゃんたちが来てから、もうずいぶん時間が経ちましたもんね。 |
凪 | 最初の頃は、駅で迷ったり、改札で正解してしまったり、いろいろありましたが……。 |
ひとりで寝るのにも慣れて、いまではすっかり、都会っ子です。いつの間にか、凪も成長しましたね。 |
裕子 | 今度のステージでは、そんな凪ちゃんの姿をしっかり届けましょうね! |
凪 | はい……もちろん。 |
数日後 |
凪 | おや、P。 |
P | お疲れさま |
凪 | いまの凪はレッスン帰り。文字通りのお疲れさま、真のお疲れさまです。 |
果たしてPは、真のお疲れさまですか?それとも見せかけのお疲れさまですか?その答えは、Pのみぞ知る……。 |
P | 14平米は、見つかった? |
凪 | そうですね……。正直なところ、凪はまだ、よくわかっていません。 |
たくさんの14平米を見て回りましたが、どの部屋を見ても、あの曲が浮かばないので。 |
P | なるほど……。 |
それは、もしかしたら…… |
どの部屋も、凪の部屋じゃないからかもしれない。 |
凪 | 凪の部屋……。 |
P | だってこれは、やっぱり……。 |
凪の曲なんだから |
凪 | 凪の曲。『miroir』の曲でも、みんなとの曲でもなく、凪の……。 |
凪の部屋 |
凪 | そういえば……最近手に入れたものも、飾っておかねばなりませんね。 |
公園でもらった綺麗な石。みんなで撮った心霊写真。花でつくった指輪。ユッコさんにいただいたダウジング棒。 |
楽しかったな。いろんな場所にいって、いろんなことをして……。 |
ふむ……。 |
この部屋も、いつの間にか、ものが増えましたね。 |
そして、これからもきっと、たくさんのものが増えていきます。 |
凪の部屋、凪の曲……。 |
誰のものでもない、凪だけの。 |
翌日 |
凪 | さて、みなさん。今日は凪が、みなさんを凪お気に入りの部屋へとご案内します。 |
小梅 | 今日は凪ちゃんが案内してくれるんだ。 |
こずえ | おきにいりのおへや、たのしみー……。 |
裕子 | それで、案内してくれるお部屋とは、いったいどんな? |
凪 | それは……女子寮の中にある、凪だけの快適空間。凪のこれまでとこれからが詰め込まれたお部屋です。 |
乃々 | それって、つまり……。 |
凪 | 凪のお部屋に、遊びにきませんか?凪の14平米とスーベニアで、みなさんをおもてなしします。 |
LIVE終了後 |
凪 | みなさん、いろいろとありがとうございました。これはお礼の気持ちです。今後もぜひ、久川凪をよろしくお願いします。 |
小梅 | あ、クッキーだ♪えへへ、やった。 |
こずえ | なぎのくっきー、おいしいねー。なんだか、やさしいあじがするー。 |
乃々 | そうですね。相変わらず、形はちょっと変ですけど……。 |
P | 凪みたいだよね |
乃々 | ぶふっ!あ、いえ、その、えっと……。 |
凪 | 大丈夫ですよ、乃々さん。少し変わっているのは、自覚があるので。 |
乃々 | なら……その、はい。でも、それがきっと、凪さんの良いところだと思います。 |
裕子 | ですね!アイドルなんて、変わっててこそですよ! |
その日の夜 |
颯 | なー、お疲れっ! |
凪 | わーお、突然のはーちゃん襲来。どうしましたか?また寂しくて寝られなくなりましたか? |
颯 | いつの話してんの、もーっ!いや、違う、っていうか、寂しくて寝られなくなんかなったことないし! |
颯 | じゃなくてっ、今日、ソロのステージだったでしょ。だから、お疲れ! |
は一も見に行ってたんだけど、なー、けっこー頑張ってたじゃん! |
凪 | はーちゃんから褒められました。これには凪も鼻高々。今日の疲れが吹き飛んでいくようです。 |
颯 | あれ、なー、ここに置いてあるの、なに?……クッキー?あはは、なにこれ、めっちゃ焦げてる! |
凪 | それは……失敗作です。上手く焼けなかったので、凪が食べます。 |
颯 | あ、そうなんだ。じゃあ、はーも食べていいよね。 |
ん、にっが……。なーって、昔から、器用なのか不器用なのかよくわかんないよねー。 |
実家でゆーこちゃんと作ったときも焦がしてたし。あはは、なんか懐かしーなー♪ |
颯 | 相変わらず、センスも変わってるし!もー、なにこの形! |
部屋もよくわかんないものでいっぱいだしさー。たまには片付けないと、またゆーこちゃんに怒られちゃうよ。 |
凪 | ……そうですね。でも……。 |
凪は、けっこう気に入っていますよ。 |
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